<   2008年 10月 ( 7 )   > この月の画像一覧

もうすぐ2ヶ月

廊下をすれ違う人たちから、たくさんの「おめでとう」を言われながら
車椅子に乗せられた私は、その膝の上にぎこちなく小さな小さな赤ちゃんを抱えて
エレベーターに乗って、一階のロビーまで降りた。

たった二日間しかいなかったのに、
小さな病室がやけに体に馴染んでいて、
そこから出されしまった私は、水槽を移された魚みたいにドギマギしていた。

正面のガラスの自動扉がサァーっと開くと
晴れた秋の香りがして、
ものすごく時間が流れたような気がした。

夫が呼んでいてくれたキャブに乗るのがなぜか嫌で嫌で、泣きそうだった。

キャブの後ろの座席で、カーシートに乗った赤ちゃんのことを
じっと眺めながら、涙が出そうになるのを必死にこらえた。

途中の広いとうもろこし畑の脇に植わってる大きなひまわりたちが
いつの間にか全部茶色になって頭をもたげていて
でも、これ以上晴れられないというくらい、クリアに澄み渡った空と
まだ秋の色を映さない緑がとても美しかった。

家についたら、
たった二日しか空けていないのに
誰の家かと思うほどよそよそしくて、
家のにおいも慣れなくて、その広さにも慣れなくて
また泣きそうだった。

ここで新しい赤ちゃんと、夫と、たった3人で住むのかと思うと切実に心細かった。

二階に上がって、私の様子を気遣う夫のことも構わず
手首にまだついたままだったビニールのネームカードをむりやりはずす。

赤ちゃんは、見ているだけで泣きたくなりそうなくらい小さく、
広い家の中ではますます儚げに見えた。

どうしたらよいのか分からない。
とにかく、疲れた。

ただ、タクシーに乗って、家に帰ってきただけなのに
ものすごく疲れて、ベッドに赤ちゃんと横になって、
そのまま泣きながら眠った。





こうやって、退院してきたのが、9月10日だった。
もうすぐ2ヶ月が経つだなんて。
実際、最初の1ヶ月、この眠った後からの記憶がほぼない。
ブログとか更新しちゃってるけれど、一体全体どう生活したのか。
何を食べて、誰と話して、いつどうやって赤ちゃんのお世話をしたんだろう?


お互い寝不足の上に、極度の緊張下にあってものすごくヒドイ夫婦喧嘩をした。

最初は母乳が出なかったから、あかちゃんのうんちが出なくて、夫婦でとっても心配した。
ようやくうんちが出たときは、それはそれは嬉しくて二人で赤ちゃんを褒めまくった。

スーパーでいつもレジを打ってくれるおばちゃんが、心配して見に来てくれた。

授乳と、おむつ替えの頻度を記録しなさいといわれて、エクセルで一生懸命作った表は
今も冷蔵庫に貼ってある。

お祝いのギフトが毎日毎日届いて、UPSのおじさんと仲良くなった。


あんなに小さく、頼りないかんじだった赤ちゃんも
みるみるうちに大きくなり、
最初は
「母乳が出ないなら、粉ミルクもあげないと赤ちゃんが飢える!」と言う夫に対して
「いや!母乳にこだわりたい!粉ミルクは最後の最後まであげたくない!」
と反論していた私だけど、最近は
「母乳ばっかりあげたい放題あげてると太るからたまには水をあげよう」と夫が言い
私は「いや、母乳は体に吸収されやすいから太らない、大丈夫」と返す始末。

表情も日に日に豊かになり、手足の動きも活発になってきた。

こうして、あっという間に時間が流れ、
振り返れば「どうやって子ども育ててきたか全然覚えてないんだよねー」と言うのだろう。

だからこそ、一瞬一瞬を大事にしないと。

眠る子どもの顔を、見つめたいだけ見つめられる時間、
世界で一番贅沢な時だと思う。
[PR]
by akikogood | 2008-10-31 04:06 | こんにちは赤ちゃん

混血の子どもを持つということ

大統領選挙の日が刻々と近づいてきた。
最新のポールではオバマが二桁台のリードということで、
現在ホワイトハウスに最も近いところにいる人物が黒人という
ものすごい現象が起きている。
・・・らしい。

らしい、というのは、私はあくまでも黒人ではなく日本人で、
外国人からすればオバマがマケインをリードして大統領になるのは
ものすごい現象、ではなく結構普通の流れなんじゃないの?と簡単に思えるからだ。

もしも自分に投票権があればオバマに票を入れたいと思うのは
彼が黒人だからではなく

だってリベラルで若くてフレッシュなかんじがいいしー
グローバルなものの見方に好感が持てるしー
もう戦争はいいよってかんじだしー
マケインの保険改革制度*はどうかと思うしー
(*5千ドルを各個人に支払うようにして、保険選択の幅をより広げるという案・・・
いやいやいやいや、そんなの、保険会社が商品の値段上げたら意味ないじゃん・・・
それより私の出産費用の請求、17200ドルでしたが。どこの皇族が175万円かけて
子ども産むのさ!?そしてそれをカバーしないととりあえず言ってくる保険会社。
この国の医療+保険制度は本当に腐ってる。)

と、まぁ現在自分がアフリカ系アメリカ人と結婚していて
子どもがいるという私情を引っこ抜いても
このくらいの理由が簡単にあって、オバマ支持に何の困難も感じない。

それは、世界も同じであるようで、もしもアメリカ国民以外に投票権があったなら
オバマの勝利は決定的なはずだとNYタイムスが報じていた。
世界はアメリカの身勝手な戦争にうんざりしているし
外交に経済、内政と問題てんこ盛りなこの国に対応するのに
今更ベトナム帰りのベテランということを最大のPRポイントにしている72歳の大統領と
アラスカのホッケーマムを副大統領に選ぶより
ハーバード出の若手ホープ大統領と外交プロフェッショナル副大統領という
タッグを選ぶほうが、単純な選択ではなかろうか。

それでも、ここまでオバマとマケインのポールが大体半分のままで来たのは
ここが「アメリカ」であるからだと、NYタイムスの記事は説いていた。

要するに、ここは信じられないような残虐な奴隷史を持つ国であり、
他のどんな国よりも「黒」「白」に意味がある国だということだ。

私の夫を含め、当初大半のアフリカ系アメリカ人は
オバマが勝利することなぞ絶対にあり得ないと言っていた。
なんだかその言い方はティーンエージャーの女の子が
「えー〇〇君なんて絶対無理ー!!絶対フラれるってー!」と言ってるようなかんじで
大好きだけど、告ったらフラれるに決まってる、みたいなトーンで
大好きだけど、正直に応援したら、落胆するに決まってる、
という本音が見えるのが切なかった。
オバマが健闘し、マケインをリードするようになってからも黒人の間では
「とにかくオバマが殺されてほしくない」だとか
「例え大統領になっても、こんなに問題山積みのときに選任されて、
結局は国民から総スカンをくってしまうんじゃないか」とか
悲観的な声ばかりがあがる。
そのくらい、この国で「黒」である人たちにとって、
黒人が大統領になるという事実は信じられないことで
裏を返せばそれは一部の「白」である人たちにも受け入れがたいことだということだ。

アメリカ以外の国であれば、これだけ肌の色だけを理由に
大統領にふさわしいか否かが問われることはないだろう。

だからこそ、考えてしまう。
黒人との混血の子どもを持つということ。

子どもが生まれる前に、夫が
「子どもが生まれたら黒人の男であることの意味をキチンと教えて
この国はフェアじゃないと伝えないとなぁ」と言っているのを聞きケンカになった。
私の意見からすれば、社会がフェアであるか、フェアじゃないかと見方は
自分の判断や努力で変えられるものだし、そんな見解を子どものうちから親が植えつけて
可能性にリミットを付けたくないというもの。
しかし彼の言い分は実際にアメリカ社会はフェアではないし、肌の色だけを理由に
理不尽な思いをすることはたくさんある、だからこそ、
人一倍努力して強くならないといけないと伝えるべきだというものだった。
結局、黒人であることの意味とは、だからこそ限界がある、のではなく
だからこそ人一倍努力しなければならない、という方向ならば同意できると思ったけれど
何より、夫の一言に黙るしかなかった。
「色々言ったってキミは黒人じゃないんだから、黒人であることがどういうことかなんて
わからないだろ。」

先進国の中では女性の社会進出が非常に遅れていると言われる国で育ち
就職活動もしたけれど、実際振り返ってみてそこまで自分が女性であることで
理不尽!!とワナワナ肩が震えるような経験をした覚えはない。
でも、そういうこともそれなりに努力して世間がどういおうと関係ない
アカデミックのバックグラウンドなり、経験なりを積んできたからで
そういうもので性差なんて簡単に超越できるものだと信じて生きてくることができた。
だからこそ、自分の息子にも自分の肌の色の中に限界なぞ感じて欲しくないと思う。
でも、黒い肌の色を纏って、生きてみたことは一度もなく
そこにある差は、努力や経験で超越できるものなのかどうかは、
正直自分では分からないのだ。

日本人の娘がいるとしたら
「女だからってできないことなんて何もないのよ。
男性がしたい・できると思うことはあなただって何でもしていいし、できるのよ」と
自分の人生を振り返って100%自信を持って伝えることができるだろう。
しかし、アフリカ系アメリカ人の血を持つ息子に
「黒人だからって、白人がしていることは100%全く同じようにできるのよ」と
どのくらいの真実を持って伝えることができるのだろう。

だからこそ、今回の選挙は私たちに大きな意味があるのである。
努力をすれば、資質があれば、肌の色に関係なく、誰でもアメリカ大統領になれる、
そのメッセージが子どもたちに届く瞬間をたくさんの親が待っている。
[PR]
by akikogood | 2008-10-28 03:48 | アメリカ、エスニシティー

ボーダレス育児

海外で出産、育児なんて大変でしょう、と心配されることも多いけれど
実際出産も子育ても日本でしようが海外でしようがどうせ初体験だ。
他の例と比較することなく、全部自分で良いと思うことを取り入れて試行錯誤を重ねるだけなので、シンプルに情報量が多いほうがいいと思う。
で、この情報化時代、日英両方の言葉を使って子育てをしてみると本当にたくさんの情報が四方八方から入ってくる。

ご近所のインド人ファミリーモハッシュんちのおばあちゃんには
抱き癖がつくから、フロアで一人で遊ばせないとダメよーと口を酸っぱくして言われるし
アフリカンアメリカンのマーサとイベットには
夫婦の寝室を確保するためにベビーと添い寝なんてするもんじゃないと言われる。

病院から退院したときには、ドクターに赤ちゃんはへその緒が落ちるまで
お風呂に入っちゃいけないと言われたのでそんなもんかと思い、
熱いタオルで体をぬぐってしのいだけれど2週間たってようやくお風呂にいれてあげると
ホームレス並みに垢が出てかわいそうだった。
日本ではへその緒が落ちる前からお風呂に入れてあげると知ったのは後になってから。
(むしろ日本では出産後の母親はなかなかシャワーも入れないらしいのだけれど
こっちは出産1日後から普通に病院でシャワーに入れた。)

それからおしゃぶり。
こっちの病院は入院期間が2日しかないので、母体が回復する間、
赤ちゃんをナーサリーに預けることもできるのだが、
夜預けてみると、朝になって病室に運ばれてきたわが子、
誕生2日目にしてなんとおしゃぶりをくわえさせられているではないか!
おしゃぶりの規則なんて知らないけれど、なんだか2日目にして「フェイク」なものを
口の中に押し込まれて「黙らされている」ようで、感覚的にとってもかわいそうな気がした。
日本ではおしゃぶりは歯の生え方なんかにも影響するとかいって
特に母乳マミーは極力がんばって使わないようにしている傾向が強い、らしい。
けれどこっちの三流セレブ特集雑誌でパパラッチされてるセレブマミーのベイビー、
みんな揃って超おしゃれなおしゃぶりくわえてるし。
しかもチェーンみたいなやつで落ちないように、
これまたオサレなお洋服に留めてあったりしている。
まぁ、子どもに犬みたいな綱つけて遊ばせてる光景まで見られる国だから
おしゃぶりなんて、なんのその、なんだろうけど。

やっぱり基本的に、欧米では子どもと大人の世界は徹底的に隔てられていて
生活する時間とか空間、食べるものまでもキッチリ分けられている気がする。
大人の時間や生活パターンがあって、子どもはあくまでもそこに「付随」するもの、というか。
だから夫婦のベッドに赤ちゃんと一緒に寝るということはありえないし
泣き止むならおしゃぶりだってどんどん使おう、
だってそうしたらベビーも私たちもハッピーでしょ?早くから自立を促したほうがいいから、
フロアで一人遊びをさせてちゃんと一人で寝られるように寝室も与えたほうがいいし、
ということ。

あれはダメ、これはダメ、という情報が多くて、もちろんどんな親も自分の子どもに良いようにしたいからあれもダメなのか、これもダメなのか、とオロオロしたりするんだけど、
まぁ、結局育児は十人十色。
そこにそれぞれの国のお国事情も絡まるから、
基本的に自分の好きなようにすれば良いってことで。

不思議なことに、子どもがうまれる前は割りと欧米型の考え方に同調気味だったのだけど
いざ生まれてみると、そんなこと言ったって!と思うことが多い。

うちではこーんな可愛い赤ちゃんと隣で寝られるなんて親の特権以外のなんでもない!
という親バカな理由と、赤ちゃんを一人で寝かす勇気がないというビビり理由で
しばらく添い寝が続く予定なのだけど。

何でもあり、という前提がないとただでさえビビり気味な子育て、
みんなこうしてます、という枠の中にいたら結構息苦しいかなとも思う。
日本のネットの育児掲示板で、
「一ヶ月の赤ちゃんを別室に寝かせるのはダメですか?」という
スレッドに猛反対のレスがたくさんついているのを見たりして
そんなの人それぞれの理由があるでしょー、と思う。

母乳だろうが、人口ミルクだろうが、
添い寝だろうが、別室だろうが、
要するに
愛だろっ、愛!!
っていうのと
安全なら、
親子が快適なのが一番。

そこには国境も文化の枠も関係なしの
いちばんシンプル、かつ大事な世界共通育児があるわけで。

え?おおざっぱ??


んなぁこたない!!!
[PR]
by akikogood | 2008-10-23 11:36 | こんにちは赤ちゃん

ピンクリボンカップケーキ

10月は乳がんキャンペーン月。
先日もセントラルパークで最大規模のBreast Cancer Walkが行われた。
歩いて募金を集うというピンクな集まり。
参加しようと思っていたけれど、風が強くて赤ちゃんを連れてゆくのはかわいそうなので断念。

久しぶりにマンハッタンに出たら、かわいらしいベーカリーを発見。
そこのカップケーキにもピンクリボン・・・

あっちもこっちもピンクリボン・・・

c0171951_10204323.jpg


c0171951_10211935.jpg

[PR]
by akikogood | 2008-10-23 10:28 | ニューヨーク

良い季節になってきました

ニュージャージーの我が家


c0171951_315130.jpg


c0171951_312831.jpg



・・・でバラバラ白骨遺体発見・・・
c0171951_32075.jpg



ハロウィーンの飾りつけを競い合うネイバーたち・・・
マジにちょっと怖い。
[PR]
by akikogood | 2008-10-19 03:02 | ニュージャージー

無敵マザー

以前、「すげぇ人体」というタイトルで
母体と赤ちゃんがいかにすごいミラクルをくぐり抜けて
妊娠期間を過ごすかという記事を書いたが、
赤ちゃんが生まれた後もすげぇ奇跡が続いている。
母子のつながり、なのだが、これは肉体を超越しているすげぇ絆だ。

正直なところ、妊娠期間中自分は世界一ハッピーな妊婦さん♪では決してなかった。
心配事も多かったし、日に日にデカくなる自分の体を
どうしてもあまりかわいー☆と思えなかった。
そこにはかわいーベビーが入っていると思っても、だ。

人によっては、妊娠が分かったとき、つまりまだ赤ちゃんが
豆粒くらいの大きさで初めてエコー写真にうつったときから
母性が爆発して、その豆粒に莫大な愛情を感じるとかいうけれど
自分の場合はそんなことはなかった。
つわりや他のいろんな妊娠作用で
日常のちょっとしたことが困難になるのがもどかしかったり
何より、子どもが生まれるというものすごいパラダイムシフト
(そう、世界経済やら政治やらそんなことよりもものすごい「パラダイムシフト」だ)
に今後の自分がどうなるのか、不安だった。
責任や犠牲、そんな言葉のほうが自分の中では比重を大きく占めていた気がする。
だからこそ、生まれてくる子どもを他のお母さんたちみたいに
無条件で愛せるのかなぁと思ったりもした。

ところが、だ。

オレンジ色の光の中で、ヌラヌラした体のわが子を自分の胸の上に置いた瞬間から
これまで生きてきた人生の中で感じた愛情とは異次元のレベルで
この新しい生命体に愛情を感じている。
これなのだ、これが巷のマザーたちが大いに語るところの
無条件の愛、だ。

この無条件の愛とやらの灯が自分の中に燈ってから
不思議なことが起こる。

まず、乳が出る。
なんだか脳みそやら文明やらが進化して、
直立歩行で色んなことを成し遂げてみているが
そういえば私たちは鯨や犬や牛といっしょ、
哺乳類だった。
字そのまんま、口で捕らえて、乳を吸う。
この行動こそが命の源泉で、エビちゃんも、ボルトも、麻生さんも、ビヨンセも
こうやってみんな大きくなった。
そのプロセスを自分が編み出す。
これまた特に何もしなくても、
ちゃんと産後4日後からそんな機能が働くようになっているのだから、すごい。
乳の不思議、赤ちゃんがお腹を空かせて泣いているのを聞くと、自動的に乳が出る。
赤ちゃんが口をつける前から、だ。
金融機関が頑張って莫大な金をかけて指紋センサーをATMにつけたが
母の乳には無償で赤ちゃんの声センサーがついている。

こんな高性能、かつオーダーメイドのワンダフル乳だが、
アメリカでは、つい2、30年くらい前までは母乳反対論が強かったらしい。
公民権運動が落ち着いた頃で、女性の権利も大きく取り上げられていた頃だったからだろう。
私たちは乳牛じゃない、人間だ、という道理だったらしい。
まぁ、乳牛じゃないけど・・・(笑)
でも確かに乳をあげる図は男性(パートナー)にとっては大きな萎え図なのかもしれないから
セクシー第一主義のアメリカではそういう理由もあったのかもしれない。

話が乳に逸れたが、母子の不思議をもう少し書いておきたい。

「新生児は夜2-3時間おきに起きるのでそのたびに授乳しなければいけない。」
この文章、母でない人が読むとものすごく大変なことに思えるはずだ。
ところが、母にはできる。
しかも、あまり苦痛でない。
それにちゃんと起きられるようにどんなに疲れていて寝不足でも深く眠らないように
体がノンレム睡眠モードにキチンとオート設定されている。
これは隣で寝ている父である人には適用されないことが多いらしく、
眠りの深い人はいびき全開で寝ていられたり、
眠りが浅い人は不機嫌大爆発になったりするようだが
母は不機嫌にもならないし、赤ちゃんが泣く前に気配を感じて起きられたりもする。

そう、キーワードは「気配。」
まさに哺乳類がみんなで分け合う「動物の勘」が、母になった人に突然与えられるらしい。
「勘」とか「気配」は見えないものなので、
そんなもん感じられるって言ったって証明できないでしょ、とお思いかもしれないが
これが、不思議、体に結びついて反応する。

たとえば、先日はB型肝炎の予防接種に行ったのだが、
わが子にでっかい注射針が打たれてワンワン泣いているのを聞くと
あら不思議、母が泣きたくなっちゃうんです。
直前にナースが"Mothers feel the pain"というので
またまたそんなクサい台詞を言いおってーと思っていたら、本当だった。
目元がジーンとして、涙腺がゆるゆるになった。

オムツも、お父さんはブリブリっと音がしなければ気が付かないことが多く
いざ開けてみるとウンチが乾いていたりすることが多いが
お母さんは「そろそろ出るな」と気配を察する。
そしてバッチリでたその直後、フレッシュなうんちをスッキリ拭いてあげられたりする。

女性の体は妊娠、出産を通じて大きく変わるというけれど、
変わるというか、体を使う幅が広いというかんじだ。
私たちは本来体に具わっている能力のうちほんの少ししか使っていないという。
こちらで人気のTVドラマ「HERO」には、そうした才能をフルに使える
超能力者たちが登場するけれど、母になって
これまでずっと眠っていたすごい能力が目覚めた気がする。

ドラマの登場人物みたいに空は飛べない、
ケガが突然治ったりはしないけれど
誰よりも自分の子どものことが分かる。

ヒーローじゃなくていい、マザーになりたい。
ヒーローよりもきっと強くて、優しいマザーになりたい。
[PR]
by akikogood | 2008-10-14 10:52 | こんにちは赤ちゃん

New World -The East Meets The West

日曜日、産後初めてシティに出た。
日本にいる友人の粋な計らいで、カーネギーホールで
バイオリニスト川井郁子さんのコンサートにいけることになったのだ。

久しぶりにシティに出たら、当たり前だが超都会で、
高層ビルやらおしゃれな人々(しかもたくさん!)やらキャブがいっぱいやら
デブがいないやらでびっくりした。
自分は相当田舎ナイズされてきたようだ。
それはそれで、シティが体に染み込むようで、楽しい。

初めてのカーネギーホールだったが、川井さんのコンサートということで
会場は95%日本人で満員御礼。
東京にいるような錯覚すら覚える。

肝心の川井氏、真っ赤なストラップドレスで登場し、
そのまま腰を振りながらタンゴを情熱的に演奏。
美しくてバイオリニストというだけで充分セクシーなのに
その上に白肌が浮き立つような赤に身を包み、
そんな官能的な動きをされたらたまりませんがな!
音楽はもちろん素晴らしいのだが、視覚の刺激が強すぎて
耳の感覚を澄ますのに時間がかかってしまった。
そのくらい、魅力的なのだ。

後半では、源氏物語をモチーフに尺八をバックに日本の伝統音楽に
ニューエイジをミックスさせたアレンジが続く。
・・・のだが、ここでも魅せられてしまう。
裾が着物のデザインになっているローブを羽織っていらっしゃるのだが
それを途中で後ろ姿になり、脱ぐ!
しかも、ソロソロと、脱ぐ!!
ひょえええー!こんなエロチックなクラシックバイオリンコンサートが存在するとは!
会場にはるばる東京から飛んできたファンが詰め掛ける
(もちろんオッサン中年男性が多い)のも充分うなずける。
繰り返すが、もちろん音楽も素晴らしい!

なんだか週刊〇〇かなんかのオッサン向けエロ評論みたいになってきたが、
最後に演奏されたホルストのジュピターにいたく感動して泣きそうになる。
コンサートのテーマ「新世界」に込められたメッセージとは
新しい音楽の世界、という意味、そして
子どもたちのための新しい世界、という意味とのことだ。
娘さんを出産されて以来、世界の貧困に苦しむ子どもたちのための
活動をされているという川井さんが、母の顔をして演奏された一曲だったと思う。

ホルストは作曲した「惑星」の中でも金星には
「希望の星、喜びの星」の意味を込めたという。
平原綾香がCDをリリースしたこの曲だが
その意味を知り、クラシックで聞くとまた全く異なった趣があった。

レセプションで、3週間前に出産し自分も母になったので
「ジュピター」にはいたく感動しましたと伝えると、
ステージ上での妖艶さはどこへやら、
ただただ優しく美しい母の顔をした川井さんが
まぁ、そうおっしゃっていただいて私も本当に嬉しいですと
素敵な笑顔を見せながらサラサラとチケットにサインをしてくださった。

感性を澄ませる瞬間、
五感を揺らすなら何でも素敵なのだけど
川井さんに視覚と聴覚、両方の感覚をフルに研ぎ澄まさせていただいた夜、
興奮から冷めぬまま寒くなってきたニューヨークを後にした。




c0171951_12385545.jpg

[PR]
by akikogood | 2008-10-08 12:39 | ニューヨーク