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ご近所物語 -インド編

マンハッタンからバスで約一時間半。
ニューヨークのビル群はどこへやら、すっかり緑に囲まれた
アメリカの埼玉?ニュージャージー!に我が家はある。

同じようなデザインの家が並び、
どデカイスーパーマーケットがある。

近くの茂みからは、鹿やらウサギやらリスやらが飛び出し、
季節の移り変わりごとに木の葉が色を変える。

あぁ、これぞアメリカ!!
アメリカンライフ!!

キンパツをなびかせ、騒ぐキッズたちをなだめながら
でっかいアメ車に乗ってスーパーに来るマミーはデカイ肉の塊をいくつもカートに入れたり
ドラッグストアに溜まるティーンエイジャーたちは『コスモポリタン』なんかを読みながら
「新しいセックスの全て」の特集にクスクス笑い合いながらガムを噛んだり・・・

・・・とアメリカン妄想に取り付かれる私の前を横切るは
おでこに朱色の印をつけて、色鮮やかなサリーの横からお腹をのぞかせる
インド人である。

そう、なぜか我が家周辺にはたくさんのインド系が暮らす。

もちろん、彼らの中にはアメリカ国籍をとり、アメリカに同化して暮らす人々や
二世、三世も多いだろう。
しかし、なぜか多く目にするのはいつでもサリーをまとい
(男性は大抵白いダブっとした上下+口ひげ)
腕輪をたくさん付けた、そのまんま!なインド人の方々。

夕暮れにはお庭にたくさん椅子を出して、ベンガル語で語り合う。
涼しくなると、サリーの裾を持ちながら、お友達と近所をお散歩。
公園でぶらんこをこぐ子どもたちを見守りながら、ベンチに座って世間話に
花を咲かせる。

キンパツアメリカンマミーはセントラルクーラーのきいたお家でカウチポテトor
iPodを持ってナイキのシューズを履いてジョギングをするかのところ。
道ですれ違うと、これまでに会ったことがなくても「ハーイ!!!」と
ブリトニーズスピアーズが可憐な17歳だった頃のようなアメリカンスマイルをくれる。

インド人の方々はつつましいアジアの血が流れているので、
知らない相手は基本無視。
こちらが挨拶をしてもチラリと見て無視されることもしばしば。

ご近所のアフリカ系アメリカ人のおじさんは
「ハハ、最近はどこに住んでるんですかと聞かれると『ボンベイの近く』と答えるようにしてるよ」と
冗談を言っていた。

スーパーに買い物に行くとき、いつも通りかかる道で
円陣に椅子を並べて語り合うインディアンワイフたちに会うので
夫はいつも「何人いるか数えよう」と笑いながらいう。
ひーとり ふーたり さんにんいるよー・・・・
と失礼ながらこっそり数えさせていただくと10人を下ることはない。

移民の多いアメリカのコミュニティー形成の過程は、人種的な要素から始まることも多いだろう。
チャイナタウンや西海岸のリトルトーキョーなどがその例だ。
もちろん、最初にいくつかのインド系家族がこの地域に住み、なかなか良いところだという情報が伝わり
その後たくさんのインド系が「仲間もたくさんいるし」と人種的なつながりを
求めて移り住んできたことは確かだろう。
しかし、この地域に多くインド系が住み始めた理由は、人種的なそれよりも
経済的な要素が強いのではないかと思う。

つまり、現象として考えられるのはアメリカの中産階級層に大量のインド系移民が
食い込んできたという事実だ。

例えば、うちのブロックのご近所さんの職業は、国連スタッフ、コンサル、CA、銀行員、
などで30代から40代の家族も多く
いわゆるミドルからアッパーミドルクラス、サラリーマン世帯がほとんどだ。
(と、不動産サイトに出ていた)

この地域からNYCに出る通勤バスに乗ると、座席にあふれるは
「ニューヨークタイムス」の社員IDをつけた・・・インド人。
IBMのカバンを持った・・・インド人。
ブラックベリーを操り仕事に没頭する・・・インド人。

最近は様々なメディアが
インドと中国の覇権についてナメちゃいかんと報道しているが
これホント、インド人嘘つかない。

増えるマイノリティーグループに対して
大抵元からいるマジョリティーグループは反感を持って諍いになったりするケースも多い。
インド英語はよくジョークのネタに使われるし、ナマステー、カレー、サモサーは
コンニチワー、スシ、ゲイシャ、並のステレオタイプだ。

私は個人的にインド人の彼らにかなり好感を持っており、
ブリトニーアメリカンマミーよりもよっぽど親近感がわくような気がする。

夕暮れに家族みんなでブラブラ散歩していたり、
じーちゃんばーちゃんが孫と公園で遊ぶ姿は
なんだか日本の風景を思い出させるような気がするのだ。
サリー着てても。

知らん人にいつもブリトニースマイルしなくてもいいじゃん、疲れるし、めんどくさい
とか思い、むしろこうやって家族でさーガヤガヤやるのがいいよね
と思う自分はやっぱりアジア人なのだなと思う。


そんなご近所-インド編 である。
ナマステー
by akikogood | 2008-08-08 08:07 | アメリカ、エスニシティー
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